OpenAIの未公開AIモデル、数学論文719本を公開し数学者の間で賛否
OpenAIは未公開のAIモデルによる数百件の数学的成果をGitHubで公開し、称賛や懐疑、ボイコットの呼びかけを招いている。
OpenAIは、まだ一般公開していないAIモデルが生み出した数学的成果の集成をGitHubで公開した。2026年10月初旬に公開されたこの集成には、長年の未解決問題を解決したとする研究論文が数百本含まれているという。この発表に対し、数学者の反応は大きく二分されている。
この集成は、発表当初は722本の論文を含んでいた。10月7日、証明に誤りが見つかった3本が取り下げられ、総数は719本となった。残る論文について具体的な異議はこれまでのところ公には出ていない。OpenAIによれば、各成果の計算量はChatGPT Proで約3時間分の推論に相当するという。
検証はなお進行中
成果の検証にあたり、OpenAIはLeanに依拠している。Leanは証明を形式言語で記述し、コンピューターがすべての論理の段階を検証できるようにするシステムである。論文のほぼ半数がこの方法で確認されたという。ただし、形式的に検証された命題が各論文の主張と実際に一致しているかを確かめるなど、独立した精査は依然として必要だ。そのため、成果の学術的な受容はなお保留の状態にある。
フランスの数学者ユーゴ・デュミル=コパンは、確率論と統計物理学での業績で知られるが、ビデオ会議の場で、彼が何年も取り組んできた16の問題がこの集成に含まれていると述べた。彼の見方では、中心的な問題は機械が先に解いたことではなく、コミュニティが結果を消化する時間を与えられないまま、膨大な規模で成果が出てきたことにある。以前、フィールズ賞受賞者25名が署名した公開書簡も、多数の解答を一度に公表すると、その背後にある考え方や手法を理解する余地がほとんど残らないと警告していた。
ボイコットの呼びかけと異なる見解
人間数学協会(HMA)はさらに踏み込み、この成果は科学的な貢献というより技術力を誇示するものだと主張し、数学者にOpenAIとの共同研究をボイコットするよう呼びかけた。一方、フィールズ賞受賞者のティモシー・ゴワーズは異なる立場をとり、成果の数の多さだけで自動的に否定的に見るべきではないと述べている。彼の懸念はより長期的なもので、未解決問題は若者を数学に引き込む役割を果たしており、その流れが今後も保たれるかは不透明だという。
OpenAIは、コミュニティが成果を理解できるよう、ワークショップや会議、専用の研究プログラムに資金を提供すると発表した。また、推論の要約、計算量の見積もり、検証用の資料も共有しているという。今回の出来事は、AIが科学の生産に果たす役割と、人間の研究者がそれにどう追いついていけるかをめぐる議論の新たな段階を示すものとなった。
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