MITが3D結晶構造と文章を結びつけるAIモデルを開発、新材料探索に活用
MITの研究者らは、3次元の原子構造と言語による説明文を組み合わせたマルチモーダルAIモデルを構築した。テキストのみで学習したモデルより有用な材料を特定する能力が高いという。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、結晶性材料の3次元原子構造と自然言語による説明を組み合わせたマルチモーダルAIモデルを開発した。2026年10月18日に発表され、Nature Communicationsに掲載された今回の研究では、テキストのみで学習したモデルよりも優れた材料設計を特定できることが示された。
課題の多くはデータにある。固体材料の大半は結晶で、原子が周期的に配列した3次元構造を持つが、その構造は大規模言語モデルが学習するテキストではなく、専用のファイル形式で保存されている。また、実験に関する文献は少数の人気の結晶系に偏っており、AIの提案もそれらの材料に集中しがちだという。
構造を理解するモデルの構築
研究チームは、実験論文と第一原理計算のデータベースをもとに、結晶構造に関する豊富な説明文を生成した。各説明文には、組成や構造に加え、物性、加工上の留意点、想定される用途が含まれている。モデルは対照学習で訓練され、構造と文章の一致するペアと一致しないペアを比較して、共通の表現空間を構築した。
合成した説明文で訓練したモデルと、論文のテキストのみで訓練したモデルを比較したところ、幾何学的構造を言語と対応づけられたのは前者だけだった。物性を平易な言葉で問い合わせると、このモデルは基準となるモデルよりも、その物性を持つ結晶を高い精度で検索できた。
固体リチウムイオン電池の電解質に適した材料を尋ねたところ、このモデルの上位候補には、他の研究でも有望とされていた材料が含まれていた。MIT材料科学工学科のJu Li教授は、「構造は材料科学分野の中核にあります」と述べている。
結晶版のAlphaFoldを目指して
Li教授は、このアプローチを、タンパク質の構造と機能を結びつけ、生物学や創薬に貢献してきたAIシステム「AlphaFold」になぞらえている。共著者には筆頭著者のYang Jeong Park氏、Mayank Kumaran氏、Chia-Wei Hsu氏、そしてElsa Olivetti教授がおり、Olivetti教授はこの手法が分野にとって大きな転換点になることを期待していると語っている。
本研究は、米国防脅威削減局、米国防高等研究計画局、韓国の国家研究財団の支援を一部受けている。研究チームは、この手法が多くの結晶性材料に適用できると考えており、他の科学者にも採用されることを望んでいる。
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